ファイルサーバーとしてIOデータ製NAS(NetworkAttachedStorageだった?)HDL-GS500を使用し,家庭内LANのどこからでも共用データへアクセスできるっていう環境は以前より構築してあるが,ここ最近,以下の懸念事項が浮上してきた。
以上から,「なんだ,サーバーをひそかに立てればいいんじゃないか」となった訳だ。
「サーバーを立てる」とはいってもパソコン形状の大型なものは目立って危険だ。「できるだけ小さくて機能としては立派なものがいいな」という前提で以下の仕様を満足するものを探すことに。
項目 | 内容 |
---|---|
ハードウェアスペック | できるだけ高いものに越したことはないが,予算と設置スペースとのバランスをよく考えて |
ディスク容量 | マルチメディア系のデータが今後増殖していことを想定するとできるだけ大きく |
必須機能1 | Webサーバー(外部には公開しないが,自作データベース系アプリがいろいろあるので)。できればApacheがいい。当然,PerlやPHPが使えてカスタマイズできること。 |
必須機能2 | データベースサーバー(MySQL)が動作すること(同上) |
あればいいな機能 | マルチメディアデータ(動画や画像データ)のサーバー機能 |
必須機能を満足させようとすると国内有名B社やI社製の家庭用LAN接続型は脱落だ。さらには,「少し変わった物を触ってみたい。きっと楽しいに違いない。」なんて,いつもの病気もちらほらと漂い,ネットを徘徊して探し出したのが,QNAP(http://www.qnap.com/jp/)製の多機能NAS。これはそれらのNASとは違い最初からシステム領域にもアクセスできるようになっているLinux機なのでシステムとしての拡張性は絶大だ。
メーカーは決まったが機種の絞込みにはかなり悩みどころだ。安いものはCPUが遅いけど,高いものは予算を確実にオーバーするし...と,あれこれ2ケ月程悩んだあげく,
と,2ドライブモデルに絞り込み,最終的には2ドライブモデル各機種の比較表(http://www.qnap.com/images/products/comparison/Comparison_2BayNAS.html)のCPUスペックおよびSMB/FTP速度の違い(そして何より予算)を決め手として,TS-239ProIIに決定だ。
という訳でウチにやってきたTS-239ProII(箱画像参照)であるが,管理画面や設定用プログラム(QNAP Finder)で見ると,『TS-239PROII+』と表示されている。
「ん? プラスって何だよ,お茶目に表示が間違ってるよな。この程度は気を付けて欲しいよな。」と笑ったものの,どうもおかしい。TS-239ProII用のファームウェアが更新されていたので入れようとすると,『モデルが違うからupdateできないよ』みたいに受け付けてくれない。
で,まじめに調べてみると,どうやらこれは本当に『TS-239PROII+』という新モデルらしい。QNAP公式フォーラムによると,
一部のロットで『TS-239ProII+』を『TS-239ProII』として出荷しちゃったんだ。
だと。商品管理はきっちりやりましょうね。まぁ,こんなにネタとしておいしいものをつかめたことに感謝しておこう,「ネタの神様ありがとう」。
以上より,ウチにやってきたのは,『TS-239ProII』じゃなくて,正式発表前の『TS-239ProII+』だったということ。両者の違いはCPUだけだと思われる。
モデル名 | CPU |
---|---|
TS-239ProII | Intel Atom D410 1.66GHz 512Kcache SingleCore |
TS-239ProII+ | Intel Atom D425 1.80GHz 512Kcache SingleCore |
正式発表され正規流通が始まったときの価格がどうなるかは不明だが,かなり得した気分になるのが庶民らしいところだ。
この機械はハードディスクレスで売っているので,自分で買ってきて組み込まなければならない。こちらは自爆覚悟のWesternDigital製WD15EARSを購入だ。ただし「-00MVWB0」が後に続く667Gプラッタ版だ。今のところは発売直後の大騒ぎになった問題は出ていない様子。TS-239ProIIに組み込み後のネットワーク経由でのCrystalDiskMarkの結果を出しておこう。まぁ,結果はそれなりだ。
ちなみに,TS-239ProII+には2台組み込んでRAID構築が可能だけど,今回組み込んだのは1台だけだ。同時に2台入れるとほぼ同時期に壊れそうなので,しばらく間をあけてから増設してRAID1を組もうかと...いや,単に予算をケチっただけなんだけど...
とまぁ,ファイルサーバーとしてはなんの問題もなくさくさくと使えるようになったので,ここからがお楽しみの時間だ。ぼちぼちとカスタムしていこう。
退役寸前の前ファイルサーバーHDL-GS500ではあるが,「使える間はどんどん使っていこう」ってことで,データのバックアップ先として使うことにする。そこで,TS-239ProII+から自動で定期的にデータをバックアップする方法を考えてみよう。
まずは,TS-239ProII+から直接HDL-GS500にネットワーク接続だ。SSHでTS-239ProII+に入ったら,以下のコマンドでマウントしてみよう。
mount.cifs HDL-GS500のIPアドレス:共有フォルダ名 マウントするディレクトリ -o user=ユーザ名,pass=パスワード
この方法で接続できたので,次は,TS-239ProII+のデフォルト共有フォルダ(/share/Public)をバックアップ先HDL-GS500の共有フォルダ(Public)にバックアップするバッチファイル(ファイル名「/usr/local/bin/DataBackup.sh」とする)を作って実行してみる。
#!/bin/sh
mkdir /tmp/NetDrive #マウントするディレクトリNetDriveをtmpの下に作成
mount.cifs HDL-GS500のIPアドレス:共有フォルダ名 /tmp/NetDrive -o user=ユーザ名,pass=パスワード
rsync -av --delete /share/Public/ /tmp/NetDrive/Public #デフォルトの共有フォルダ
umount /tmp/NetDrive
rmdir /tmp/NetDrive
これが動作確認できたら,cronで定期的に実行できるように。/etc/config/crontab を,viエディタとかで開いて
0 1 * * * /usr/local/bin/DataBackup.sh
とでも設定(毎日AM1:00にバックアップ実施)して
crontab /etc/config/crontab
を実行しておけば,後は自動でバックアップをしてくれるはずだ。
いや,「開発」と言っても自分でソースから書き起こす訳じゃないので「コンパイル環境」ってのが正しいのかも。
まずは管理画面の,『アプリケーション』-『QPKGプラグイン』から『Optware ipkg』をインストールしよう。インストールが完了すると,一覧に『Optware』アイコンが表示される。
インストールできたら,SSHで接続して,以下のコマンドを実行してみる。
ipkg list
すると,パッケージが用意されているプログラムのリストが表示される。それらの中から必要なものをインストールしていく。以下はその例だ。
ipkg install gcc
気づいたものだけだが。アプリによってはもっと他のものが必要になるかもしれない。
名称 | 備考 |
---|---|
coreutils | |
diffutils | |
gawk | 標準で入っているawkはbusyboxにリンクされているが,高機能なgawkを必要とするアプリもあるため
|
gcc | |
gettext | |
grep | 標準で入っているgrepはbusyboxにリンクされているが,高機能なgrepを必要とするアプリもあるため
|
libtools |
|
make | |
sed | 標準で入っているsedはbusyboxにリンクされているが,高機能なsedを必要とするアプリもあるため
|
tar |
まずは設定ファイル等のある場所を確認
項目 | 場所 | 備考 |
---|---|---|
apachectl | /mnt/ext/opt/apache/bin/ | Apacheの起動停止他 |
apache.conf | /mnt/ext/opt/apache/conf/ ( /etc/config/apache/ へリンク) | Apacheの動作設定ファイル |
まずは設定ファイル等のある場所を確認
項目 | 場所 | 備考 |
---|---|---|
mysqld.sh | /mnt/ext/opt/mysql/mysqld.sh | MySQLの起動停止他 |
my.cnf | /etc/config/my.cnf | MySQLの動作設定ファイル |
データ | /mnt/ext/opt/mysql/var ( /share/HDA_DATA/.@mysql へリンク) | MySQLのデータ本体 |
まずは設定ファイル等のある場所を確認
項目 | 場所 | 備考 |
---|---|---|
php.ini | /etc/config/php.ini | PHPの動作設定ファイル |
extension_dir | /usr/local/apache/modules ( /mnt/ext/opt/apache/modules へリンク) | |
PEAR | /opt/share/pear ( /share/HDA_DATA/.qpkg/Optware/share/pear へリンク) | 次項『PEARのインストール』が必要 |
標準ではmysqli.soは入っていないので,上記『ipkg』からphp-mysqlをインストールする。
ipkg install php-mysql
cp /opt/lib/php/extensions/mysqli.so /usr/local/apache/modules
その後で,『php.ini』に下記を追加し,Apacheの再起動をおこなう。
extension = mysqli.so
標準ではPEARは入っていないので,上記『ipkg』からインストールする。
ipkg install php-pear
標準ではPerlは入っていないので,上記『ipkg』からインストールする。
ipkg install perl
項目 | 場所 | 備考 |
---|---|---|
perl | /opt/bin/perl | Perl実行ファイル(Ver.5.10.0-6) |