近頃の車のエンジンは電子制御できっちり調教されている。ゆえに、外部電子制御機器追加によるスパイスを効かせることも可能である。一味違う仕様になると愛着もさらに深まることだろう。
FL1シビックへ手軽に導入できそうなエンジン用の電子制御機器をピックアップしてみよう。
それぞれ、何が可能かでお値段が変わってくるが、おもちゃとして考えると、一番いろんなことができそうな機材にするにきまってるじゃないですか...という訳で「Flash Pro」をぽちっとな。
まずは、ソフトウェアのインストールから。箱の中に「FlashPro FL1 設定手順書」が入っているのでそれに従っていけば大丈夫。と思いきや、最初の作業のソフトウェアダウンロードからつまづくことに。ダウンロード先の指定urlが間違っているぞ。(2023年4月時点)
誤:https://www.hondata.com/software
正:https://hondata.com/software
ちなみに、この手順書は、SPOONのwebサイト(上記)からもダウンロードできるぞ。
ソフトウェアがインストールできれば、いったん「設定手順書」から離れて、同様にSPOONのwebサイトからダウンロードできる「FlashPro 基本操作マニュアル」の「D. センサーの単位設定」を実行しよう。米国のインチ系単位がデフォルトなので、なじみ深い単位系に表示を変更しておこう。
「FlashPro FL1 設定手順書」に戻って実際に書き込んでみよう。今回は、プログラムに入っている「Civic-turbo-2022-2-93octane-Tuned-Spoon」データ(手順書によると、「MAXブースト1.6仕様、点火時期、燃調最適化 日本ハイオク仕様」とのこと)を用いて、その他は手順に従って書き込んでみる。
書き込めたら、さっそく走ってみよう。(というか、走らないと、書き込み時に発生したエラーが消えない場合もあるらしい)
上記のような個人の感想だけだとあまりにあやふやなので、データを取得して比較してみよう。こんなこともあろうかと「データロガーを自作」してたのよ。
注:PID15のデータに関する認識が間違っていたのでこのページの空燃比に関する記述は誤っている。
純正ではベタ踏みでも4500rpmを超えると勝手に絞られていたが、そんな制御は入らずに80%(これが最大値)を維持している。「そうそう、これよこれ」
※間違っている
純正と違いビタッと安定している。純正の回転4500rpm以上でのアクセル開度と連動した薄い状態への変化もない。ただし、全体的に21前後と薄い。「えっ?そうくるの?」
とはいえ、純正4500rpmの空燃比6弱ってのは理論値14.7に比べ明らかに濃いぞ。そんなに入れてちゃんと燃えるの?
純正155kPa(絶対圧)までと違い、195kPa(絶対圧)まで上がってる。「おぉっ!」
純正では4500rpmを超えると圧が落ちてるが、これは、測定点がインマニであり自動的にスロットルバルブを閉じられている影響?ターボ自体にも制御が入ってる?かな。
これが問題だ。まず明確にしておきたいのは、6MTでアクセルベタ踏み状態の測定ってこと。なんでベタ踏みなのに途中で回転が下がるの?体感的には「マニュアルミッションじゃなくてトルコンだっけ?」なんて考えたわ。
測定開始1秒後から急激に回転が上昇し(ベタ踏み開始と連動)、1.7秒から2.3秒にかけて緩やかに下降し、その後に再上昇している。ひょっとしてホイールスピン開始してから再グリップまで推移してる?そうなのかぁ?? グラフ的にはここの山がなければ確かにスムーズに回転数が上昇している形にはなるが...ちなみに、車からは何の警告も出てきてなかった...
詳細には、もう少しパラメータを追い込み、データのN増しもやってから、にするとして、ここでは簡単に確認してみよう。
前述のデータで4000rpmから5500rpmまで上昇する時間を比較してみよう。純正とFlashProでは約0.8秒の差があるのでそれだけパワフルってこと? いや待て、測定したギヤは同じ・ドライ・気温もよく似てたはず、ってのは覚えているが、上り坂?平坦?下り坂?は、まったく覚えていないぞ。人間の記憶は役立たずだwww。
でまぁ、4500rpm以上で比較しても、ブースト圧が高い(=たくさん空気が入っている)にも関わらず、空燃比は一緒くらい(=その分、燃料もたくさん噴いてる)ので、ちゃんと燃えてさえいればパワーは出ているはずである。このグラフも4500rpm以上で差がついているようにも見えるし、なにより体感できる(超主観的ww)ので、ヨシ!、とする。
前回セットアップした「Civic-turbo-2022-2-93octane-Tuned-Spoon」よりも若干マイルドと思われる「Civic-turbo-2022-2-Stage2-Tuned」を試してみよう。比較のために「93octane」グラフも並べてみたがどうだろう。
ブースト圧 | Stage2 | 93octane |
---|---|---|
ピーク | 187kPa | 195kPa |
立ち上がり[3500rpmあたり] | 120kPa | 135kPa |
若干マイルドな程度で「Stage2」も十分パワフルなセットになっている。
ところで、前回同様に、加速開始から4500rpm以下あたりまでの間で発生する、「謎の回転数急上昇とその後の下降、そして再上昇」、こいつが今回も発生している。これってさぁ、あまり考えたくないんだけど、ひょっとして...クラッチが滑ってる...んじゃないの?
えーと、クラッチディスク+クラッチカバー+工賃...いや、ちょっと何言ってるのかよくわからない...とりあえずこのページはそっと閉じて忘れておくことにしよう、そうしよう。
えーと、どうしても忘れることができなくて、やっぱりクラッチ交換したので「Civic-turbo-2022-2-93octane-Tuned-Spoon」で再測定を実施した。はたして怪しげな回転数の挙動は改善されるのか??? 2回測定したので比較してみよう。
はい、めだたく回転数はリニアに上昇するようになりました。データ再現性もあるし、体感上でも回転数に応じたパワー感を伴って加速していく。これよこれ。こういうのが欲しかったのよ。