社外フルエキ(Akrapovic Evolution line)に交換したCBR1000RRをインジェクションコントローラーで燃調を決めてやろう。機種選定(RAPiD BIKE 2に決定)および取り付け作業が終わったら基本的な特性の確認だ。
まずは下のグラフを見てもらおう。これはほとんど補正のかかっていない状態でのCBR1000RRのA/F計測結果だが,特徴的なのは6000rpmまでのA/Fのうねりだろう。この傾向は全てのCBR1000RRに当てはまると思われる。それは,Akrapovicのフルエキ Evolution lineでのトルクカーブ(http://www.akrapovic-ai.si/main/catalog/honda/cbr1000rr_04/rac-evo/chart.html 参照),および同時に掲載されているノーマルエキパイのトルクカーブでもほぼ同一回転数でのトルクの山と谷が確認できるからだ。
で,セッティングの方向性として,まずはこの6000rpmまでの常用域の特性平滑化を狙っていきたいところだが,気になるのはRAPiD BIKEの補正領域の回転数に対する初期状態での分割方法だ。グラフ中では水色の縦縞で初期状態での回転数分割位置を示しているが,6000rpmまでは一つの補正領域が分担する範囲が広く,それ以上の回転数では狭くなるという,レースセッティング(?)だ。レースだと6000rpm以下なんてオマケみたいなものだからいいのかもしれないが,ストリートでは6000rpm以下の使用頻度が高いのでこれでは困る。そこで滅多に使わない(?)11000rpm以上の制御領域を広くして,余った分割点を6000rpm以下の低回転域に割り当てようとしたのが以下のグラフだ。
という訳で,RAPiD BIKEの特徴の一つである回転数の分割位置変更をおこないたいのだが,それはRAPiD BIKE PRO版限定の機能だったりする。わざわざPRO版を購入するわけにもいかないので,PRO版を持ってる人とお友達になって書き換えてもらうことにしよう。
こちらの変更は上記ほど差し迫った問題ではない...というか...自己満足が半分,そこそこ開けて走るユーザー向けが半分と要ったところだろうか(^^; まずはHONDAWEBサイトのCBR1000RR製品紹介ページから,インジェクターについて説明されている部分を参照してもらおう。
第1インジェクターはスロットルボディ(Φ44mm)に装着され低回転域のパワーとレスポンス向上に寄与し、第2インジェクターはエアファンネル上部に設置され、3,000rpm以上、スロットル開度1/4以上で作動しハイパワーを供給する。すなわち中・高回転時、加速時では上下2段のインジェクター8基が同時稼動することになる。
ここで注目してもらいたいのは「スロットル開度1/4以上」という部分で,スロットル開度25%未満だとプライマリインジェクターのみの動作,それ以上だとプライマリ・セカンダリ2個のインジェクターが動作するということである(そのまんまや)。一方,RAPiD BIKEの標準状態での補正の分割位置はどうかというと,下のグラフの上段のように,0-5%/5-10%/10-20%/20-40%/40-60%/60-80%/80-95%/95%以上,の8分割で,セカンダリインジェクターが動作を始める25%では20-40%の補正範囲内のため,20-25%/25-40%で特性が違いそうでどうも気分的によろしくない。また,頻繁に使用する開度20-80%の範囲が20%毎の分割とおおざっぱな分け方になっているのも気に入らない(^^;
そこでグラフ下段のように,滅多に使わない全開領域を妥協して85%以上とし25%の位置に分割位置を持ってくれば,中開度は15%刻みと若干細かくなるし自分の使い方にあっているかもしれないぞっと(^^)
という訳で,RAPiD BIKEのもう一つの特徴であるスロットル開度の分割位置変更をおこないたいのだが,これもRAPiD BIKE PRO版限定の機能なので,PRO版を持ってる人とお友達になって書き換えてもらうことにしよう。
以上の方針が決まれば後はひたすらデータを取って補正値を見直し...の繰り返しをおこなおう...で,「まぁこれなら公開できるかも?」という結果が出てきたので公開することにしよう。(実際にこのセッティングを使用したことによる故障や事故等の発生については当サイト管理人のTakachは一切責任を負わないので,自己責任にて実行するように(一応,お約束のセリフを入れておこう)
まずはMyCBR1000RRの仕様を再確認だ。以下のセッティング内容はこの仕様でないと役立たないぞ(ひょっとすると個体差だけでNGになるかもしれない)。
全体仕様 | 2004年モデル国内仕様をフルパワー化 |
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吸気ダクト | 純正改(ダイレクトエアインダクションコントロールバルブ撤去) |
エアクリーナー | 純正品。取付部品をフルパワー対応純正品に交換 |
ファンネル | フルパワー対応純正品に交換 |
エキパイ | Akrapovic Evolution lineチタンサイレンサー(フルエキなので排気デバイスは取り外し) |
回転数分割位置 | デフォルトから変更が必要(「回転数補正領域の分割位置を変更したい」参照) PRO版ソフトが必要 |
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スロットル開度 分割位置 | デフォルトから変更が必要(「スロットル開度補正領域の分割位置を変更したい」参照) PRO版ソフトが必要 |
加速ポンプ機能 | OFFしてある(継続時間を0に) PRO版ソフトが必要 |
点火時期 | デフォルトで入っていたものを若干マイルドに修正したつもり(はっきり言って適当なデータ) |
で,どんな感じに仕上がったと言えば
上に出してある状態と比べると急激なA/F値の変動もなく13前後に落ち着いていることがわかるだろう(いや,単にA/F=13を目指して作り込んだだけなんだけどね)。ちなみに,これは自分なりに理論を持ってやってる訳じゃなく,ショップ等のサイトで公開されてるデータを見るとそのあたりを狙ってるようだったからというすばらしい判断によるものだ(^^;
そうそう,4000rpm以下はちょっと薄めにしてみたが,ここはもう少し濃くしてもいいかもしれない。まぁ,CBR1000RRのキャラクターを考えればどうでもいい回転数かもしれないし(と,強がりを言ってみる),真剣に加速するときはシフトダウンして回転あげるから...とはいっても,改善の余地ありだ。
...で,実際のところ,本当のインジェクションセッティングというものはこの段階でようやくスタートラインに立ったと言うことらしい。「ここは薄くしても加速は変わらないし,燃費もよくなるから燃料積載量も少なくて軽くなるぞ」とか「この部分は濃くした方が速い」とかね。このあたりはhttp://www.grid.co.jp/af/af2.htmをどうぞ(ここのA/F計もちょっとサイズがでかそうだけどいいかもね)。
さて,いよいよセッティングデータだ。それぞれ数値毎に色分けしてみたので全体の傾向もつかみやすいはずだ。特にInjectionマップはPCのモニタから少し離れて見ると傾向がよくわかるかも...しれない(^^;
いやぁできたできた...とは言っても,部分的に気に入らないところがあるので,この項を公開した時点ではすでに別のマップになってたりするんだが。こりゃぁきっとライフワークだな(うん,いいおもちゃだ)。